熟年離婚の傾向と解決の鍵


熟年離婚について

熟年離婚とは、俗語で法律用語ではありませんが、長期間結婚生活を営んできたいわゆる熟年夫婦の離婚をさします。

 


熟年離婚の傾向


熟年離婚は、若い世代の離婚と比べると以下のような傾向が比較的多く見られます。

 

① 離婚を妻側から切り出すことが多い


② 妻の離婚の決意に対して、夫側は無自覚であることがある


③ 離婚の理由として、長年積もった不満があげられることも多い


④ 未成年の子どもがいないため親権や養育費を争うことが少ない


⑤ 婚姻期間が長期に及ぶため財産関係が複雑になっていることがある


⑥ 夫が妻を見下し、妻の話に耳を貸そうとしない 


⑦ 離婚後の生活に不安を抱えているために離婚に踏み切れずにいる方が多い 


 



熟年離婚 解決の鍵 (解決へのヒント)


    第三者を交えた話し合いが有効 


 熟年離婚は、夫婦の双方が一定の人生経験を積んで来ていらっしゃるので、夫婦間のみでは感情的になってしまいがちであっても、第三者を介して話し合いをすれば冷静に話し合いができる期待が高いといえます。


 当事務所でも、夫婦では全く話し合いにならなかった方が、弁護士が代理人になったことで急に話が進んだという事例が多くあります。



② 事前に財産に関する情報収集を    


離婚時に大きく問題となる離婚条件として、財産分与があります。

財産分与とは、婚姻時から別居時までにご夫婦で協力して築き上げた財産を、離婚に際して夫婦間で分ける手続です。


財産には、不動産、預貯金、株式などの有価証券のほか、解約返戻金があるタイプの生命保険なども含まれます。

とりわけ熟年離婚は、婚姻期間の長さから、夫婦が婚姻してから築き上げた財産関係が複雑に絡み合っていることが多く、これら財産に関する話し合いが長期化することがあります。

 当事者であっても、保有する財産の全てを網羅できていない場合や、相手方が財産を隠してしまうような事例では、財産の所在を調査するところから話し合いが始まります。

 財産に関する手がかりがあれば、相手方が財産を隠してしまっても、手がかりを元に、相手方に対して財産を開示するよう求めることができますので、たとえば、預金通帳、保険証券の写しをとるなどして、同居時から情報収集をしておくことをお勧めします


 相手方が財産を開示しない場合でも、手がかりがあれば、弁護士が代理人となって、弁護士会を通じた調査や、裁判手続の中で直接金融機関等に回答を求めるなどにより、財産の所在が明らかとなるようサポートすることができます。


婚姻期間中のご自分の寄与に見合った分与をきちんと得るために、事前に手がかりをおさえる準備は忘れず行いましょう。



③ 合意の前にワンクッションを!  

☆☆

熟年離婚は、夫婦ともに相当程度の常識を習得している立場にあることから、相手方(夫)の言うことは常識的にも通用すると考え、相手方(夫)の言い分を鵜呑みにして、不合理な条件で合意をしてしまう方がいます。


たとえ相手方(夫)が、社会的に常識のある方とはいえ、離婚条件に関しても精通しているとは限りませんから、一方的な思い込みによる主張であることもあります。

一方で、離婚条件に漏れや不備がある可能性も懸念されます。


たとえば、熟年離婚では、働いている夫(又は妻)に将来退職金を受給できる蓋然性がある場合、この将来受け取ることができるであろう退職金についても分与を求めることができる場合がありますが、これを見落とされる方がいます。


また、財産を分与する割合に関しても、会社員の夫と専業主婦の妻という夫婦のように、ひとえに財産が会社員の夫の給料で築き上げられたといえる場合にも、妻にも内助の功による寄与があると考えて、原則1/2の割合での分与が認められますが、このことをご存じない方もいます。



漏れなく離婚条件を検討し、後悔のない離婚をするため、合意の前には、必ず最終確認を行う機会を作ることをお勧めします。





    


④ 相手方の社会的な立場をおそれない!   


熟年離婚では、夫が有名企業に長年勤務し、社会内でも敬われるような立場になっていることから、妻に対しても威圧的な態度や強い口調で主張してくることがあります。

妻はこれに萎縮してしまい、どのように対応すれば良いか分からない、と相談に来られる方がいます。


①の点とも関連しますが、たとえば妻の側に弁護士が代理人として就くことで、夫婦間の話し合いでは身内である妻と思って(見下して)存分に自分の意見を主張をしていた夫でも、弁護士を相手にすることで、自分の社会的な側面を思い出して物事を冷静に受け止め、話し合いが建設的かつ紳士的に進んで事件を解決することができたという事例は当事務所でも多くあります。


相手方が社会的に高い立場にある程、妻が弁護士を代理人にたてたときに、顕著な傾向が見られます。

つまり、実務社会での経験から、これまで妻に対してみせていたものと異なる対応の変化をみせ、結果として迅速な事件解決につながることが期待できるのです。

男性は、いわゆる外面や面子を非常に重視するものです。

妻に対しては、筋の通らない主張をしていても、代理人である弁護士を相手にすることで、理性的にならざるを得ないのです。


相手方が社会的に高い地位の方であっても、その立場をおそれる必要はありません。




⑤ 環境が変わったら生活できないと思い込んでいませんか? 

長年、同じ環境で生活を続けてきた方ほど、離婚により新たな人生を歩み出すことを躊躇される傾向にあります

 誰しも、見ることのできない将来は不安ですから、今までの生活を変えるのに必要な勇気は、相当なものでしょう。

 でも、その不安に押されて、あなたが耐え難い婚姻生活をあえて耐えているのだとしたら...貴重なご自身の人生、後悔のない選択をするために、不安なときは、具体的に離婚後の生活をシミュレーションしてみることをお勧めします

 たとえば、熟年離婚で大きく意義のある離婚条件として、年金分割が考えられます。

 年金分割とは、平たくいうと、夫婦の一方のみが働いていた方が離婚した場合、婚姻期間中働いていた側の年金の納付実績を分割することによって、夫婦間の収入格差による納付実績の不平等をならす制度です。


 婚姻中働いていなかった側でも、働いていた側の納付実績の分割を受けることによって、自身の納付実績として、これに対応する年金を受給することができます。

 ですから、婚姻期間が長く、夫婦の収入差もあればある程、年金分割を行う意義があるといえます。

 年金受給資格を満たす満50歳以上の方()であれば、年金分割をしない場合とした場合の年金見込額等の情報の提供を受けることができますので、離婚後にいくら年金を受給できるのか予想することができます。

※ 満50歳以上の方で、情報提供請求時点で年金加入期間が25年以上の方を指します。


 これに加えて、ご夫婦間の財産の分与をきちんと受けた場合にどの程度になるか、成人間際のお子さん達に関する養育費はいくらか(あるいはお子さん達が成人していて、養育費がかからない方もいるでしょう)・・・具体的に考えてはじめて、現状の生活を続けるのか、離婚を選択するのか、後悔のない現実的な選択ができるといえるのではないでしょうか。

 



 以上は一般的なお話ですので、実際の事案に応じて異なる場合があります。
 あなたの離婚に関して、後悔のない選択をするためにはどのようなことを検討するべきか、ご相談いただければ、一緒に考えさせていただくことができます。

 お悩みの方は、是非一度ご相談下さい。

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