解決のツボ① 相手は離婚に応じていますか?
Q 相手が離婚に応じない場合どうしたらよいのですか?
A 相手が離婚することに同意していない場合、協議離婚はできません。
しかし、法律で定められた「離婚原因」があれば、相手が離婚に応じていなくても離婚できます。
民法 第七百七十条
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
※具体的に、自分の置かれた状況が法定の「離婚原因」にあたるかどうかは、専門の弁護士が詳しい事情をお伺いしてアドバイスします。
夫婦間に未成年のお子さんがある場合には、夫婦のどちらか一方を親権者と定めなくてはなりませんので、これは離婚問題を解決する重要なポイントのひとつです。 離婚をすること自体に争いがなくても、お子さんの処遇をどのようにするかで長期間もめてしまう夫婦も少なくありません。
解決のツボは、どのようにすることが、もっともお子さんの利益にかなうのかということです。
たとえ親は離婚して他人となっても、子供と親の関係は断ち切ることができません。
一時の感情や意地にとらわれず、お子さんの生活環境や将来を見据えて、冷静に検討することが重要です。
解決のツボ③ 子供との面会交流
子供と別居している親と、未成年の子供との面会の方法を定めます。
たとえ親同士が別居や離婚をしても、子供との関係は変わりません。
お子さんが健やかに育つためには、親と面会することはとても大切なことです。
離婚の際に、子供は別居親から見捨てられたと感じることがあります。
夫婦が別れて暮らすことになる以上、どちらかの親は、子供と一緒に住むことができなくなることは避けられないでしょう。。
そんな場合でも、子供に向けた親の愛情が変わらないことを示し、「いつでも会える」と感じさせることは非常の大切なことです。
解決のツボ④ 養育費
養育費は家庭裁判所実務において採用されている「算定表」を基準に、ある程度機械的に計算できます。
また、一旦定めたからといって、必ずしも約束の金額をもらい続けたり支払い続けたりし続けなればならないものでもありません。
離婚後のお互いの状況の変化によっては、増額請求や減額請求をすることも可能です。
たとえ夫婦は別れても、子供にとってお父さん、お母さんであることには、変わりありません。
このことを忘れなければ、きっと解決策が見つかるはずです。
財産分与とは、夫婦が結婚してから築き上げてきた共有財産(例えば、預貯金、不動産など)を、どのように分けるのかという問題です。 これに対して、慰謝料とは、離婚に至った原因になった行為や離婚をすること自体について被った精神的な損害をお金に換算して支払う賠償のことです。
このように、財産分与と慰謝料は性格の異なるものなので、たとえ貴方に離婚に至る原因があり慰謝料を支払わなければならなかったとしても、原則として財産分与の請求はできます。 財産分与を請求する前提として、そもそも財産がいくらあるのかを算定する必要があります。
不動産の場合は、その価格を調べなければなりません。
また、たとえ不動産があったとしても住宅ローンが残っていた場合にこれをどうするかを検討する必要があります。
なお、民法の規定(768条2項)によって、財産分与は離婚の時から2年間が経過すると裁判所に対して請求できなくなるので注意が必要です。 そのため、できるかぎり離婚の前の話し合いで決めておくとよいでしょう。
離婚問題解決のツボ⑥ 慰謝料
慰謝料とは、離婚に至った原因となった行為や離婚をすること自体について被った精神的な損害に対する賠償のことです。
これに対して、財産分与とは、夫婦が結婚してから築き上げてきた共有財産(例えば、預貯金、不動産など)を、どのように分けるのかという問題ですので、慰謝料と財産分与は分けて考える必要があります。
慰謝料は、損害賠償であることから、請求する側の方により大きな落ち度がある場合や、相手方に慰謝料を支払わせるほどの落ち度がない場合、また相手の落ち度が離婚に至る原 因となったとは言えない場合(例えば相手方に不貞行為があっても既に婚姻が破綻していたような場合)は、慰謝料請求は認められません。
慰謝料の額はどうやってきまる?
慰謝料は、主に離婚の原因となる行為の違法性や精神的損害の程度を判断するために、いろいろな事情(※)を考慮して決めます。
※慰謝料を算定する要素の例
①不貞や暴力など離婚の原因となった行為の態様や程度など
②慰謝料を請求する側と請求される側の年齢、職業、収入、財産状況など
③婚姻の状況(婚姻に至る経緯、婚姻期間、別居期間、婚姻生活の態様)や子供の年齢・数、その他の家族関係など
夫(または妻)以外に慰謝料を請求することもできます。
夫(または妻)の不倫の相手方に対しても、夫(または妻)と共同であなたに精神的な苦痛を与えたとして、慰謝料を請求することができます。
但し、不倫関係が始まる前に、既に夫婦関係が破綻していたような場合には、慰謝料を請求することはできません。
離婚問題解決のツボ⑦ 年金分割
離婚時の厚生年金や共済年金の分割 離婚等をしたときに、厚生年金や共済年金の標準報酬を当事者間で分割することができる制度です。
この年金分割制度には、
① 合意分割制度と、
② 3号分割制度があります。
① 合意分割制度とは
合意分割制度は、平成19年4月以降の離婚について、結婚をしていた期間分の厚生年金や共済年金の標準報酬等を最大1/2まで当事者間で分割することができるというものです。
(1) 相手方との話し合いで年金の分割割合を取り決めた場合は、公正証書を作成して年金事務所に所定の届けをします。 (2) 話し合いがつかない場合は、家庭裁判所の調停もしくは審判で分割を求めます。離婚裁判の手続で分割を求めることもできます。 (3) 共働き夫婦の場合、妻(夫)は、各自の年金を受給できますが、夫婦間の厚生年金や共済年金の標準報酬等に差額が生じる場合には、差額を解消することが可能です。
② 3号分割制度とは
3号分割制度は、専業主婦もしくは年収の少ない方(国民年金の第3号被保険者)に限り、平成20年4月~離婚時までの期間相手方の厚生年金や共済年金の標準報酬等の1/2を、合意や裁判等がなくても分割できるというものです。
いずれも、年金分割の対象は、年金のいわゆる2階建部分のみですので、確定給付企業年金、適格退職金などのいわゆる3階建部分は含みません。
注)自営業の妻(夫)の場合 この場合、妻(夫)は、国民年金の第1号被保険者ですので、自分自身の基礎年金を受給することができます。
そもそも相手方に、年金分割の対象となるいわゆる2階建て部分がないので、年金分割は利用できません。
婚姻費用とは、生活費など要するに「結婚生活を維持するために必要な費用」のことです。 このことは、たとえ別居中であっても、変わりません。
したがって、夫(妻)は、別居中で離婚協議中だからといって、相手方の生活費を負担しないで放置していると金額がかさんでしまいかねません。
他方、婚姻費用を支払ってもらえない側としては、話し合いによって解決できない場合、法的手段によって強制的に支払わせることもできます。 なお、婚姻費用の算定は、家庭裁判所実務において客観的な基準が採用されており、簡易計算方法にもとづく算定表が公表されています。
例えば、サラリーマンの夫の税込年収が600万円で、パートの妻の税込年収が100万円、15歳と10歳の子供がある場合で子供は妻と同居している場合、夫は妻と別居していても月額13~14万円程度を婚姻費用として負担する義務があります。
これまで説明してきた8つのポイントさえ押さえれば、離婚問題は解決できます。
現在あなたが抱えている問題もどのポイントが問題となっているかを意識して取り組めば、問題点が整理されて解決に一歩近づくことになるでしょう。