被害の実態
令和2年の内閣府の調査によると、女性の約26%に1人がDV被害を経験しているとされています。
暴力には、
→ DV事件は、遠い世界の出来事ではなく、身の回りに存在するものです。
→ DVは放置していると、ますますエスカレートする可能性があります。
また、DVのある家庭は、被害女性だけでなく、子供にとっても危険地帯です。
したがって、早期に適切な対応を取る必要があります。
暴力の種類と初期対応
夫から受ける暴力は、身体的暴力に限られません。例えば、①手を出さないものの大声で怒鳴る馬鹿にする発言や態度をとる等の心理的攻撃や、②生活費等を渡さない等の経済的圧迫、③望まない性行為を強要する性的強要も含まれます。
暴力を振るわれた場合は、証拠を保存しましょう。
医師に診断書を書いてもらったり、けがの状態や部屋が散乱した状況を写真にとっておいたり、どのような経緯で暴力をふるわれたのかを日記等に記しておくことが大切です。
また、暴力がひどい場合には、警察や婦人相談所に相談して、記録に残してもらうことも大切です。
加害者と離れられない事情のある方へ
暴力はどんな場合にも決して許されるものではありません。
しかし、夫と離れることによって逆恨みされるのではないか、また離れた後の生活面、金銭面等の様々な不安があると思います。
そのため、暴力を振るう夫と離れる選択は、被害を受けている女性にとっては大変なことです。
事件への対応
私たちがDV事件に携わる際、最も重視するのは、依頼者様の「安全」です。
DV事件は危険性を伴う事件でもあります。
そのため、安全確保のため、適切に事件の危険性を把握し、
・各警察署への相談 (必要に応じて同行します。)
・安全なお住まい・避難場所の確保
・裁判所に対しする保護命令等の申立て
など、それぞれの事件の危険性に応じて適切にサポートいたします。
お一人で悩まず、まずはご相談ください。
女性によるDVにお悩みの男性へ
これまで、DVの被害者が、女性であることを前提に説明をして来ましたが、実は、男性が被害者となるDVの事例も見受けられます。
過去に私が担当した裁判でも取り扱ったことがあります。
男性の方が体力的に強いのだからDVの被害を受けるわけがない。
か弱い女性がDVをするわけがない。
というのは、固定観念に過ぎません。
世の中には、様々な夫婦があります。
男性だから、DVが認められないということはありません。
上述の裁判でも、きちんと証拠を提出して、DVの存在を認めてもらいました。
相談することは恥ずかしいことではありません。辛い日常から脱却するためには、勇気を出して相談にお越しください。(弁護士 高桒美奈)